経管栄養チューブを使用して
お薬を注入される方へ
お薬をチューブから投与する方法として、
簡易懸濁法がございます。
簡易懸濁法とは?
錠剤やカプセルなどのお薬をつぶさずに、そのまま55℃程度のお湯に入れて懸濁したものをチューブから注入する方法です。
この方法を用いるメリット
- チューブが詰まりにくい
- 投与する直前までお薬の確認ができて安全
- お薬が中止・変更になった時にも対応しやすい
- 潰さないため、お薬の品質が保たれる
- 潰した事により粉末状になった薬を吸い込む心配が減る
準備するもの
- お薬
- お湯(55℃程度)
- 注入器
- カップ
- スプーンやマドラーなどのかき混ぜ用器具
55℃のお湯の作り方
以下のいずれかの方法で作る事ができます。
- 方法1:水と熱湯(約90℃)を1:2の割合で混ぜる
- 方法2:電気ポットで60℃に設定(数分で55℃まで冷める)
- 方法3:水道水100mLを電子レンジ(500W、1分)で温める
簡易懸濁法による投与方法
下記のような投与方法があります。取り扱いやすい手順で行ってください。
簡易懸濁法の手順1
- お薬を確認して、カップに入れる
- 約55℃のお湯を入れて、よく混ぜる
- (混合する必要のあるお薬があれば、そちらを加えて、再度混ぜる)
- お薬の混ざった液を注入器で吸い取る
- 注入器をチューブへ接続して、お薬の液を流す
簡易懸濁法の手順2
- コップなどの容器に55℃のお湯を約100mLほど入れる
- 注入器の押し子を抜き、1回に服用する薬を注入器内に入れる(注入器は垂直に立てずに薬を入れる)※
- 55℃のお湯を20mLほど注入器内に吸い取り、10分ほど放置する
- 注入器を振って、中の液を混ぜる
- 注入器をチューブへ接続して、お薬の液を流す
※ 押し子
注意事項
- 注入器の中で薬を懸濁した状態のまま、長時間放置しないでください。
- 10分程度懸濁した後のカプセルの溶け残りが気になるようであれば注入前に取り除いても構いません。
(有効成分が溶け出していれば問題ありません) - 薬の投与後は、必ず人肌程度のお湯(20mL~50mL程度)でチューブ内を洗い流してください。火傷に注意してください。
- 懸濁の際に硬水やアルカリイオン水を用いると、薬の吸収・効果が落ちてしまう場合があります。
水道水を用いるようにしてください。 - 懸濁に使用する容器の洗浄は、日常的には水洗いか食器用洗剤で行ってください。
週に1回程度、漂白剤で漬け置きしていただくと良いです。 - 全ての薬の投与が簡易懸濁法で行うことができるわけではなく、お薬の中にはチューブからの投与に適さないものもあります。
お薬を使用になる際には、ご自身で判断されず、薬剤師に相談するようにしてください。 - 多くの場合、数種類の薬を同時に懸濁しても問題ありません。
変色したり、固まりが生じる場合には薬剤師にご相談ください。 - 水分摂取量に制限がある患者さんは、あらかじめ医師や薬剤師に確認してください。
- わからない点がございましたら、いつでも薬剤師にご相談ください。